一口腔単位は、歯科治療を受けるときに大変重要な意味を持つ言葉です。 ご存知の通り、歯は一本だけでは物を噛むという機能を果たしません。上下の歯が合い、初めて物が噛み切れます。上と下の歯が一本ずつでは物をかむ面積も少なく、噛んだ時に隣り合う歯がないと根に負担がかかりやすく、しっかりとはかめないでしょう。
物を食べたときの口腔の機能において、前歯は物を噛み切り、奥歯は物をすり潰すという役割を持ちます。前歯で噛み切られたものは、舌と頬の絶妙な働きにより、奥歯に送られます。さらにそれは咬合面(こうごうめん)にのせられると、下顎の運動によって幾度もすり潰され、ある一定の大きさになると嚥下反射がおこり胃に送られるのです。この間噛み砕かれた物は、前歯の方に出てこない仕組みになっています。このように人間の身体は非常によくできており、まったく無駄のない作りになっています。歯にも一本一本の役割があり、そして全体として一つの機能を果たすようにつくられています。
したがって、歯を治療する時は一本の歯だけを治療しても相対する歯や隣り合う歯が健康でなければ意味をなしません。つまり、一本の歯を治療する時でも、全体の歯との関わりあいを考えながら治療することが重要な意義を持っているのです。ただ単に一本の歯だけを治療すればよいという考え方は、痛みをとるといったことなどは治療できても口腔機能本来の回復に対する治療とはいえないのです。
このように歯全体を一つの器官と考えて治療することを一口腔単位で治療するといいます。当院ではこの考えに基づいて治療を行っておりますので、是非とも歯の治療を受けるときには、一生自分の歯で食べられるようにこの一口腔単位での治療をうけることをおすすめしています。
2013-12-18 10:48:15
コラム